オープン講座に参加して 三期塾新第2クラス 大石千絵子
015年3月15日(日)、第13回中医オープン講座が今年も目黒プリンセスガーデンホテル内の会場で開催されました。
会場内は、好奇心旺盛な熱気であふれ、室内が狭く感じるほど多くの受講生で埋め尽くされました。
午前の部「経脈説の新旧」の講師は、みやかわ温灸院院長、日本内経医学会会長、『温灸読本』(医道の日本)の著者でもある宮川浩也先生です。常に臨床の第一線で活躍されながら、数多くの古典を研究し、その精神を学生に伝えられています。
副題の「保守本道の深い味わいを!」にあるように、馬王堆漢墓の出土品を題材にした内容が中心となります。本で読むだけではわからなかった行間の深さに触れ、暗号のような漢文がベットサイドに降りてくる感覚がじわりとします。
印象深かった事は、古典や漢文の美味しいところだけを切り取ってそれらしく形にしたものを読んで知った気になっている事は、本道や真髄を知ることにはならないと説かれたことです。また、「古典から何を学び取るか。」にまで話は及び、治療家としての心構えや行いに関して具体的な例を挙げられると、会場に大きな頷きが生まれました。朗らかな口調ではありますが力強く伝わってくるお話に、参加者全員の頭の上に閃きの電球が灯ったようでした。
午後の部「気口九道脈診を使った経脈の治療」の講師は、足立鍼灸治療院仁鍼堂院長、和魂漢才鍼灸セミナー講師の足立繁久先生です。日本で発展した腹診や脈診を取り入れた伝統的な治療をされています。ご自身の治療院では、小児鍼や育児ママをケアされるなど女性の強い味方です。
日本の臨床では、六部定位脈診や脈状診が主流であるため、気口九道脈診を実践されている方は珍しく、多くの方が学校の教科書で習う程度です。また、脈診は長年の経験で培われていくもので、とても難しいというイメージが強くあります。先生は、そんなイメージを払拭するように脈診における臓腑の配当図を図示しながら説明をしてくださいました。
指先を集中させ脈の凹凸を探すという行程がとても新鮮です。治療への転換は、異常のある脈の部位に配当された臓腑の原穴を治療点にするなど、非常に端的でシンプルな方法です。そのため、鍼灸や脈診の未経験者でもすぐに習得できるそうです。
見て・聞いて・体験していると時間はあっという間に過ぎていきます。終わった直後、脈診に対する考え方がガラリと変わったのではないでしょうか。
中医セミナーとはいえ、講義内容は多様で多彩です。視野が狭くなりがちな業界ですが、見分を広めて前向きに取り組もうと思わせてくれる一日になりました。
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