現役鍼灸師の
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 ■期待追証の応用でリフレッシュ  

 職場やサークル活動など、人の集まるところでは、
必ずといってよいくらい一人や二人
苦手なタイプがいるものです。
とくに喧嘩をしている わけではありませんが、
その人の目線が妙に気になったり、
私に対してだけは冷たいと感じたりします。
確かに相性はあります、
相手も生身の人ですから好き嫌いも当然あるでしょう。

○ここは「期待の追証」を応用してみてはどうでしょうか?

 期待追証とは、簡単にいえば「自分の期待に相手が反応する」ということです。たとえばある上司に対して、あなたが「嫌な感じの人だなぁ」という印象を持ったとします。明るい人でも、暗い人でも、何でもかまいませんが、このように最初に抱いた相手の印象をいわば期待の心理と言っておきましょう。期待するというと何かプラスのイメージがありますが、マイナス的感情もあなたから相手に発する期待の心理状態と思ってください。
 人は相手の性格や行動を予想し、それに従い自己の行動を規定します。当然、上司に嫌な感情を抱いているのなら、あなた自身それに相応した行動を取ることになります。間違っても自分から近づき、微笑んだりはしなでしょうね。仮に微笑んだとしても、ぎこちなさからは抜けきれません。
 このような態度に上司は素直に反応します。あなたの態度に反応した上司は、何となくウマが合わないと感じ、素っ気ない態度になります。そこであなたは、やっぱりあの人は最初に思った通り嫌な感じの人だったのだ、再確認するわけです。
 あなたの思いが行動にあらわれ、それに相手が反応して、最後にその通りだと確認するわけです。これが高じると、無意識ですが、自分の期待した相手像にもってゆくような行動を取ります。あるいは期待した相手増像に適うところだけをみるようになります。
 世間でいう「人は自分の鏡」とは、こういうことを指すのではないでしょうか? 感情をニュートラルにして、自分から近づき微笑んでみてはどうでしょうか?ただ、相手のニュートラルなときを選んでください。無意識に相手の感情が乱れているときを選ぶ人がいます。

 相手に悪意や敵意を抱くといわないまでも、普通の業務などで、その人の前で緊張するようなら、ニュートラルな感情とは言えません。嫌味な言葉も、実はあなたに向かったものではないこともあります。

 ■心の時計をもって生きよう  

 物は貯蓄できるが、時間は貯められません。時間は常に消耗するものなのです。
現代のキーワードは『楽・欲・得』です。
なるべく楽をしながら、欲望を満たし、得を求める。この観点で大量生産、大量消費が成り立つわけです。回りを見渡すとあらゆる生活道具を散乱していることに気づくでしょう。そのうちのいくつかは私たちの創造力で代用できるのではないでしょうか。創造的我々であるにはゆっくりとした時間が必要です。楽するではなく楽しむ時間です。欲望ではなく、良く観る時間です。得するのではなく、世の中を解く時間が必要です。漢方で考える生き方の基本は、自然との共生であり、他者との共感であります。
 ある意味で童心の心を取り戻すことで、時間をゆっくり味わえるのです。物理的時間は何人にも同様に与えられますが、心の持ちようで何倍にも感じることができます。心の中に朝を迎えましょう。

 ■心の栄養  

 人それぞれに大事な品がある。頑張って手に入れた物、愛しい人からもらった物などは、思い出も深く、慈しみながら扱う様子が見えてくるようだ。
 しかし身近にもっと大事な宝物がありはしないだろうか。自分のからだという宝物である。この唯一無二の存在を大事にしない人が殊の外多いのには驚く。大事な品同様に慈しみをもって接することをしない。
 親がいて、その親がいて、そのまた親がいて、という連綿とした命の継続性の中で今ここに存在するという実感がないのだろうか。考えればもの凄いことで、感謝せずにはおれないのに。
 からだは頭の従属物ではなく、車で言えば両輪にあたる。頭だけが暴走し、からだがついて来られなくなった人を毎日見る。手の震えが止まらない人、吐き気が止まらない人、呼吸が苦しくなる人……枚挙にいとまがない。  鍼灸の世界観では、血がからだを栄養し、かつ心も栄養すると考える。からだの状態が回復するとともに心の安定を取り戻す人も少なくない。毎日のからだの状態に素直に耳を傾けよう。

 ■物 語  

 久しぶりにユング派の某氏の講演を聴きに行った。
氏いわく「カウンセリングとは、相手の物語を待つ職業である」という。
 ひとは自分の物語を作り、その物語に生きる。自分自身のことでいえば、小さい頃は仮面ライダーに、小学生ではバレーボール選手に、高校では農業開発普及員としてアジアを駆けめぐることを夢見た。
 現在、同じアジアでも中国を源流とする中医学を以て、患者と歩く夢を見ている。ころころ変わりはしたけれども物語を作り続けた。
 一方、親は親で子に対して描いていた物語があるだろう。さしずめ良い高校、良い大学そして良い会社という物語が一般的である。
 子と親の描く物語が一致していれば、子は生き生きと甘え、生き生きと自立する。よく見て、子供の描く物語を待ってみよう。
 不惑を前にして本当に親に感謝できるようになる。ありがとう。

 ■不仁(ふじん)
 中医学では知覚麻痺(しびれ)を「不仁」という。つまり仁がないことだといっている。仁は儒教の核になる思想を集約した一語である。
 この場で仁の説明に入ると3年はかかりそうなので止めておく。
 ただし医学という、本来あるべき姿より限定された形で用いるときには、仁は「痛みを察する心」といった意味になる。そこでしびれを「自分の痛みすら感じない」という意味で不仁と呼ぶわけである。
 日常生活で「人の痛みを察する心」がないということは、ともなおさず人の気持ちを推し量る能力に欠けるということである。これは医学的不仁ではなく、日常的不仁である。それを古来日本では「仁は人なり」「仁徳は人徳なり」ゆえに「不仁は人徳なきをいうなり」という。
 自分にあっては素直でいたい、他にあっては無礼、粗暴でなきよう努めたいものである。

 ■リアリティー

 今日から11月です。温かい鍋をつつく姿を回想しながら、心穏やかに、焦らず、怒らず、無駄なエネルギーを消耗しないようにしたいものです。
 昨日も韓ドラを見ていました(洪国栄:ホングギョン第7,8話)。  ある王様が非業の死を遂げた母の慈しんでいます。ただ、その慈しみ方が面白いのです。世間とかなりズレています。
彼の国は、王族の墓を稜、庶民の墓を墓、その間を園と呼びます。つまり高貴な方から順に稜−園−墓となります。我が国でも天皇家のお墓は稜ですね。小学生で習う仁徳天皇陵がこれです。
 この御坊堂は政局に巻き込まれ、罪人扱いにされました。よって墓は稜とは呼ばれず、単に墓と呼ばれるわけです。

 王は政敵と暗闘しながら、10数年かけて墓から園に呼び名を変えました。最終目標は稜まで昇格させることです。さすが儒教のお国です。すごい『孝』です。
しかしドラマとはいえ、強い違和感を感じてしまいます。何に違和感を感じたかを後で考えてみました。
 この王様に世間がありません。正確には宮中での出来事のみが世間です。その証拠に、庶民は最初から王様の御母様の墓だから稜と呼んでいます。
 世間では、ある特定の対象にしかリアリティーを感じない人は少なからずいます。
 数学者は数字の世界にリアリティーを感じるのではないでしょうか?  この国の政治家は永田町の政局が最もリアリティーを感じているように見えます。
 社保疔はともかく数字合わせが目下のリアリィーではないでしょうか?  学問バカと揶揄される人もこの傾向が強いのではないでしょうか?  病気で苦しんでいる人もそうです。リアリティーの世界が近眼的になりやすい傾向をもちます。  
臨床家を目指すなら、常に世間、人の感情、世の中の動勢などに意識を向けなければなりません。世間に流されるという意味ではありません。 『下々(しもじも)の皆さん、私は庶民派だから、スパーを15分も廻りました、偉いでしょう。カップラーメンは400円でしたっけ。では、オークラでディナーがありますから、後は良きに計らってください』って感じの人がもしいたら、早く稜を作ってあげたくなります。『君子に義あり』、これは一国民からの諫言です。

 ■『宮廷医官・許浚(ホジュン) 』

許浚(ホジュン)は、あの有名な「東医宝鑑」の著者である。東医宝鑑は僕も時折御世話になる。主に論文の参考資料として用いるが、漢方大百科事典のような趣がある。確か1613年に完成したと記憶する。その少し前には秀吉の朝鮮侵略があり、首都・漢陽も落城寸前の憂き目に遭い、比較的安定政権だった李氏朝鮮の中では動乱期といってもよいだろう。

 このホジュンの小説をドラマ化したものが「宮廷医官・ホジュン」である。両斑の子と生まれながら、正妻の子でないため、科挙試験を受けることが適わず、かつ両斑の身分も保障されない中、医学と出会い心医としての道を切り開いてゆく。
 心医とはホジュンの師匠の言葉で、患者の苦しみを受け止めて、その存在自身で相手の心を癒してしまうような医家を指す。  ホジュンの素晴らしきところは、この目指す方向性に一点の曇りもない点であろう。生き方の基準に全くぶれがない。貧乏のどん底を味わうが意に介さないところが素晴らしい。心が貧乏と正反対にある。ただしホジュンにも弱点がある。〜そこが人間らしくてよいのだが〜。
 愛する人の苦労を見てられないのである、ホジュンは…。妻や母親が飢え苦しむ姿に耐えられない。思わずお金儲けに走っちゃおうかと考えたりする(言い過ぎです−正当報酬を貰うだけなのですが…)。
 人は志があるといかような苦労にも耐えることが出来ます。しかし、愛する者が苦労する姿を見るほど辛いことはありません。しかし、愛する者が何故苦労するかは、あなたの志を指示したからに他ありません。テレビの前でがんばれホジュンと叫んでしまいました(笑)。

 ■『ちょっとよい話 』

 奥様が不妊外来に通い始めた友人のK君。ついでに自分の精子の運動率を測ってみることになりました。
何と30数%しかありません。通常50%以上ないと、自然妊娠が難しいとされています。「不妊はオレの問題???」  こんな例、つまり男性の側に問題があることも少なくありません。自分の責任を自覚したK君は運動率アップ作戦を敢行します。
その内容は………
 1.海馬補腎丸を毎日3回飲む。
 2.太谿に日に数回お灸を据える  のふたつです。
漢方の立場では、精子の運動率は腎精と肝の疏泄が絡みます。ストレス、緊張、焦りなどの心理状態は肝の全身の気を促す働きを停滞させます。これを専門家は肝の疏泄失調と呼びます。運動率は著しく落ちますね。
また、腎精が転化し精子を作り出します。そこで腎精不足は、精子減少症や息の悪い精子が増え、結果運動率の低下となって現れます。
 話を戻しましょう。海馬補腎丸を飲んだり、太谿に灸を据えること腎精にアプローチする行為なのです。ちなみに太谿は脚の内踝とアキレス腱の間の拍動部に取ります。
1ヶ月後……
運動率は70%近くになりましたとさ!!!めだたしめでたし。
不妊症は夫婦二人の問題です。男性も怖がらず婦人科の門を叩いて下さい。問題がなくとも女性を温かく見守ってあげて下さい。愛する人の精神的なフォローを怠らないでください。お願いします。

 ■『スピ−ドガン 』

 スピードガンは言わずと知れた投手の球速を測る機械です。
「おっと、藤川出ました、155キロ」という風な感じで良く耳にします。
 西武松坂、横浜クルーン、巨人江川、ロッテ伊良部、阪急山口、中日小松。
古くは尾崎、権藤、金田、スタルヒン。皆さんついて来られますか?
 【体感速度】
実際は球が速いかどうかは、様々な状況で変わります。
体より腕が遅れて投げれば、実際より早く感じます(好例ソフトバンク和田)。
胸元に投げれば、顔と近いため、バッタを出す始動が遅れるので早く感じやすくなります(好例西武東尾−少し古い?)。遅い球を続けた後、速球というパターンも早く見せるコツのひとつです(中日山本)。
 【実際と感覚の乖離】
 我々は数字の世界に住んでいません。感覚の世界に住んでいます。
楽しい、幸せと感じるための数字など存在しません。したがって愛国心やゆとり教育なども数字化、客観化などできません。もちろん他者と比較の上で、楽しさや幸せを測ることも無理です。
 病気も体のひずみを普通じゃないと感じたための認識です。病は気の持ちようという言葉はこの辺の感覚を含んでいるのでしょう。

 ■『プロレス 』

 今月はちょっとマニアックな話です。
中2の時から現在まで毎週欠かさず購読していた『週間ファイト』が遂に廃刊となりました。
愛読者としては寂しい限りです。家人は大喜びです(笑)。
 『週間ファイト』には、プロレスを考えるためのエッセンスがふんだんに盛り込まれていました。
馬場・猪木対立時代には、読者の様々な意見を取り上げてくれました(国際プロレス派もありました)。
 また、八百長と蔑すまされたプロレスに思想という光を当てたのも当時の井上編集長の功績です。レスラーの強さ、悲哀、人生観などを表現したひとつのスタイルがプロレスであると…。
 最近は『K1』『プライド』 などリアル格闘技の全盛期とされています。これはこれで面白いのは事実です。しかし、それがプロレスを否定することに繋がる風潮はいかがなものでしょうか。
 【軸がひとつ?】
 ものの善悪などを考えるとき必ず基準がありますよね。つまり、何かの視点から判断するわけです。その視点がひとつしかないと、非常に分かり易いわけです。プロテスタント原理主義から見ればアメリカが正義でイラクが悪です。イスラム原理主義なら逆ですね。  リアル格闘技から見れば、プロレスなんか馬鹿に見えるでしょうね。その馬鹿に見えるそこを楽しむ視点があれば、面白いですよ。
プロレスは…。
 様々な主義主張があり、それを聞く余裕ある。そこにある相手の正義も認めましょう。そして自分の中で折り合いをつけていければどうでしょうか?

 ■『体内サイン 』

 頭は言語の世界であり、情報の世界である。常に自分は今も昔も同じと思いたがる癖がある。一方、体は現実の世界であり、感覚の世界である。日々変化し、また衰えたりもする。言葉の世界、情報の世界に日々埋没すると、感覚の世界を疎かにする。感覚の退化するといっても過言ではない。典型が都市型住民である。逆にいえば頭を優先する人が増えれば、社会都市型、情報社会になる。人々の思考で社会が作れるわけだから当然の結末であろう。そして益々自然から離れ、感覚の鈍化を招く。

 体の内から発する小さなサインは、自分を頭の世界、言語の世界、つまり「こうすれば−必ずこうなる」の社会から、感覚世界、自然の世界「この嵐は過ぎるの待つ」の世界に引き戻してくれる。鍼灸師はこのサインを見つける仕事です。嵐のときに、動き回ればどうなるかわかりますよね。  体が発すてくれる小さなサインをライフスタイルの指針のひとつに据えることで、大きな災を回避し、頭と体の折り合いをつけていきたいものです。煙草や酒で感覚を鈍らせないように。嗜好品は楽しむものですよ(笑)。

 ■『猫のマッサージ 』

 猫の習性のひとつに足踏みがある。今回はこれを応用した話である。半年近くかかった。

対象となった猫は我が家の次男坊で、名前を豹子(中国読み:パオズ:通称パオパオ)という。横浜駅構内の餃子専門店の名前ではない。  以前から明け方に餌を目当てに私の所へやって来る。最初は鼻を噛んだり、爪を立てたりし、私に叩かれる始末。そのうち甘い声を出すようになる。カワイイので思わず餌をあげてしまう。意外にも学習能力があるのだと感心しきり。  

半年前頃に、こちらが足踏みに適した服を着ていたのだろうか、数分間足踏みをしてくれる。体重が6キロあるので心地よいマッサージ効果を得た。「気持イイ−」、そうだこれを餌と引き替えに習慣化しよう……。  最近では毎朝(4時頃なので眠いが…)5分程マッサージ。お腹、太股の内側、腰という順にやってくれる(実はこちらが体を移動するだけ?)。遂に労働する猫が誕生しました(笑)。 


 ■『法律 』

 今年も確定申告が近づいてきた。いつものことだが、税務署から送られる『申告の手引き』の意味がよくわからない。いかような理由によるのだろうか。
 ○専門用語が多すぎる
 素人に説明するとき専門用語を多用すると、その専門用語を説明する注意書きが必要になる。その注意書きの中にも専門用語が出てくるともうお手上げである。
 ○ただし書きが多すぎる
 日本の公的条文の特徴は、「×××」である。ただし「×××はこの例に当たらない」という形式が多い。また、ただし書きがなくとも日常的に守られないことを承知で存在するものも少なくない。
時速制限に関わる法令などが好例で、規則に忠実その通りに走れば交通渋滞を起こす。
しかし思わぬ時(捕まえる側の都合?)に××キロオーバーで捕まってしまう。〜理不尽だな〜
 法律は守ることができる範囲を前提として存在するものとずっと思っていた。しかしこの国では理想を法律化し、ただし書きを作り、それを世間の動向に従い変化させるということがお好きなようである。
 法律は閉鎖系言語で成立し、解釈の余地がないのが一般的である。その点において日本語は曖昧で、解釈次第でいかようにでも取れる。日本語の特徴も相まって、法が解釈でいかようにも変わると考える国家は純粋に法治国家といえないだろう。護憲運動の難儀さはここにある。


 ■『 現役鍼灸師の独り言−《頭の良し悪し》 』

 ひとり考える。最近門下の塾生達や学校の教え子たちを見て感じるのだが
「頭がよい」と何を指すのだろうか?本人が頭が良いと自覚する頭の悪い人?が増えたように思う。 はたまた、こちらの頭が良いという定義が違っているのだろうか。
 ○まず『記憶力?』これは儒教国家の秀才の必須条件だろう。
 ○『回転の速さ?』これも昨今のスピード時代に必要かもね。
 密かに思う頭の良さとは、出力と入力のバランスだと思う。
何かを学ぶ・感じる(これは五感を通し頭に入るから入力です)。と、そこから実際にアクションを起こす(筋肉を使う所作ゆえ出力です)。とのバランスが悪い。何かを学んでも、実際の行動に移らない人がいます。行動に移すから、次なる学びが容易になり、それを起点にまた行動が容易になる、いわば出入力の循環に出来るのですね。考えて、やってみて、やってみたらまた違った考えがあらわれる、結果違った行動になるという仕組みに気づかない。
 頭でコネコネし過ぎてはダメ。五感と行動が大切だということですね。

 ■『 続・アメリカの鍼灸師 』

 前回お話ししたアメリカの鍼灸大学の学生達の研修が無事終了しました。
今年は何かと学生達と接することが多く、100名近い学生と話したでしょう か。
ときにこちらの常識が通用しないときもあります。
 ○アメリカ人からの質問
 《何故日本の鍼はとても細いのですか?》
  日本人は刺激に対して、あなた方より過敏であるので、太い鍼は体質上合わないと
  説明しました。ウーム半分以上の学生が納得いかないようです。
 《何故日本人は過敏なのですか?》
  食い下がりますね(笑)。食べる量が違います。
  皮膚を流れる気血は食べ物から生産されるわけですから、あなた方より皮膚状の気血が
  少ないのですよ。血が少ないと 過敏になるでしょう。中医学的な説明です。
 《何故食事量が少ないのですか?》
  質問が泥縄になってきた。視点を変えよう。
  日本には「縮みの文化」があります。日本人が物作りを追求すると、すべてがコンパクトに
  なって行きます。扇から扇子を作るでしょ。提灯に蛇腹をつけたでしょう。
  最近はカセットテープレコーダーからウォークマンを作りました。
  これが日本の縮ま せる文化なのです。
やっと全員が納得してくれました。


 ■『 アメリカの鍼灸師 』

 お盆の最中(8月15日)にニューヨークのとある鍼灸大学の学生達の研修を
引 き受けることになった。日本の鍼灸事情の視察ということらしい。
         〜〜 中略 〜〜
ニューヨークと鍼灸というと、奇妙な取り合わせのように思う方もいるはず。
実は北京、東京、ソウルなどの東南アジアの主要都市を除けば、最も鍼灸の盛んな町が
ニューヨークなのである。ここにアメリカのリアリズムを見る。
有効な治療はどんどん取り入れる現実主義と いってもよい。
数年前にアメリカ国立衛生研究所は、鍼灸の治療効果に関する研究成果を公開した。
詳細は割愛するが、要旨は「効く理由はわからないが、統計処理を行ったとこ ろ、
対称とした疾患で有効性が認められた」という内容であった。
つまり国立衛生研究所は効いた理由はわからないが、
効いたことは事実だ、と いっているわけである。
そして現在、アメリカ国民に益する治療としてどんどん受け入れられてきた。
つまりアメリカのリアリズムの根幹は「何故そうなる」を問うより、「どうした 良くなる」を
考える点にある。これを忘れ、彼の国と付き合うと、手痛いしっぺ返しくうことになろう。


 ■『 チャングムの誓い 』から思う

 『チャングムの誓い』はいわば韓国板大河ドラマです。
BSで毎週木曜日10:00:から連載中です。鍼灸、漢方の話がふんだんに出てきます。
『冬ソナ』を発火点とする一連の韓ドラブーム。
中でも異彩を放つのが『大長今』(邦名:チャングムの誓い)である。
異彩といっても、歴史に残る医女を扱ったという点や儒教国家の有り様が
よくわかるという意味でのことあり、人物構成はお決まりのパターンを踏襲する。
基本の1人−2人−多数は変わらない。主役が医女ソ・チャングム、準主役は怨念抱く
チェ一族の賢女グミョンと、二人が淡い恋心の抱く武官ミン・ジョンホの二人。
その3人との関わりから様々な人物が登場するという設定である。
いわば純愛的三角関係という視点なら『冬ソナ』と何ら変わらない構成であるが…。
          〜〜 中略 〜〜
 チャングムの生き様、とくに医女としての成長過程は、我々臨床家に幾つかの教訓を示す。
まずは医療人としての心構えを挙げよう。
ドラマでは師匠チャンドクを通し『料理の失敗は後口の悪さで終わるが、
医術の失敗は人の命に関わる』と言わせている。
不覚にもテレビの前に座して腕組みをしながら反省している自分自身がいるではないか。
これには我ながら驚いた。また即断即決も戒めも説く。
才女チャングムはとかく頭の回転が早い。脈診と2,3の問診で証を割り出す。
そのため、ややもすると患者の生活習慣や食生活などを、情報源という意味で疎んじる
壁をもつ。この手の失敗は優秀な臨床家ほど陥りやすいものだ。
電光石火も悪くはないが、一旦引いて検証する習慣も肝要と心得る。
  最後に名医シン教授の言葉を送ろう。
「医療に携わる者は聡明な人より深みある人になりなさい」。医療人の本質ここにあり。
韓ドラはただ者ではない(笑)
これは医道の日本誌8月号《特集・夏のエッセイ》 で記載される文章に準じ たものです。


 ■『 忙し過ぎると 』

 前回は免疫の話をしました。あまりに怠惰?な生活を送るとリンパ球が増え、過剰な免疫
反応、つまりアレルギー反応を起こしやすいという内容でした。
逆にあまりに忙しい生活を送ると、これもまた問題を生じます。
忙しいとは心が亡くなると書きます。忙しいことの最大の問題点は、ゆとりがなくなることだと
思って差し支えないでしょう。
 恥ずかしながら、自分の日常を振り返ると、夕方の8:30頃まで治療を行い、
それから夕食の買い出し、猫の世話と糞の掃除、その間に洗濯と食事の用意です。
食後、入浴を済ませたら、大概1時を回ってしまいます。
さくら堂の休みの日は鍼灸専門学校の非常勤講師です。これでは体が悲鳴を上げるでしょう。
このような環境で、さしたる大病もしないのは、3つのことに気をつけているか らです。
(1)1日決算主義
   なるべくその日のことは、その日で片づけ、翌日に持ち込まないということで す。
   要は溜めない工夫です。
(2)体操を生活の中に
  運動は軽度のストレス発散に有効な手段です。とはいっても、ジムに通う時間も
  ありませんので、なるべくトイレや入浴中などに適度な体操をするようにします。
  生活の中の切れ目切れ目に運動を取り入れるわけです。
(3)追われるから追うへ
  とくに男性に聞いてほしいのですが、男性ホルモンは『追うホルモン』と言われて います。
  狩猟で獣を追ってきた歴史をもつ男性は、主体的に何かを追ってかけていると、
  免疫力が上がるものなのです。
  日頃の仕事などで『追われている』から『主体的に追う』という意識に変えて行 きます。
以上の3つを心掛けるだけでもかなり楽な日常が送れます。

 ■『 不安

最近とみに不安感を抱える患者さんが増えています。
ひどくなれば「・・・神経症」という病名がつくのでしょうが・・・・。
映像不安
 台風が一段落したと思ったら、今度は地震です。
 皆の心のなかに、少しずつ地球が壊れてきている、という思いがあるのではないでしょうか。
 毎日メデイアを通じて辛い映像を見せられると、直接被害がなくとも、心のなかにその映像が
 おりのように溜まってきます。たとえば大地震など体験すると、肉体的に被害がなかった
 人でも、その後に眠れなかったり、動悸が止まらなかったりします。
 映像はある意味で疑似体験をすることにつながります。
 それにしても新潟の方々に思いを馳せると、言葉が出なくなります。
競争不安
 「ハンディキヤップは隠さなければいけない」。
 これが、悲しいかな競争社会のコンセンサスです。心はいつも何かに追い立てられるように
 不安だけど、そのことを公にすると、競争社会では除外されます。
 そこで無理にから元気を装うため、ますます心がしんどくなります。
 不安感をわるいもの、良くないものと捉えると、心にハンディキャップを背負った状態
 になるのです。それを他人に気取られないように元気を装うわけです。
 心と体がバラバラの方向を向いてしまいます。
睡眠習慣
 12時前に寝ると寝ないでは免疫力に差が出るといいます。
 現代は、過去のどの時代より、最も遅くまで起きている習慣ができています。
 家に帰れば映像から不安を煽る要素を取り入れ、寝不足のまま重い体を引きずり会社に
 向かいます。そして競争社会の荒波のなかでから元気を出せば、体はヘトヘ ト、ヘロヘロに
 なり、不安が不安を呼び込む心理状態に追い込まれて行きます。
○僕なら患者さんには、『不安感は体と心を見つめ直す警告反応ですよ』といいます。
 警告反応ですから 《いいわるい》 で語ることはできません。隠すと体内に深く入るだけです。
 付け加えます。そして鍼で気と血を十分補い、体への影響は排除します。
 不安と笑うことと同じように唯の反応なのです。決して、いけないものと考えないで下さい。
 御願いします。


 ■『オリンピック総括(東洋医学の立場から)

長い夏休みを頂いておりました。今回は番外編として五輪を総括します。
史上タイに並ぶ金メダルを獲得した今回の五輪の原因はどこにあったのでしょうか?
 1−高温多湿が幸いした
  たとえば競泳を例に取ると、屋外であったこともあり、水温が少し高くなっていたそうです。
  これにより日本選手は国内と似た環境が整備されました。
 2−性質も新人類
  北島康介選手に代表されるようにプレッシャーを楽しむような選手が多いように見受け
  られました。元来日本人は他国の人と比べ消化機能が劣ると言われています。
  これを東洋医学では脾気虚(ひききょ)と呼びます。
  脾気虚の人の特徴的性質は、良く言えば協調性があり、悪く言えば決断力がない、
  優柔不断といえるでしょう。それゆえ、他人の眼を非常に意識します。
  これがプレッシャーにつながるわけです。かつてソウルで瀬古利彦選手が腹痛を起こし、
  増田明美選手が一過性の精神失調を来したのは有名な話です。
北島選手に代表されるヤングパワーはプレッシャーをエネルギーに変えるところがあります。
いい意味で個人主義をもつ若者が育ちつつあります。
五輪期間中かなりの人がアテネ時間で過ごし寝不足を強いられました。寝不足が続くと
血虚(けっきょ)の状態になります。目がかすんだり、足がつったりします。
そ して今度は寝つきが悪くなります。つまり、寝不足で血虚になり、血虚で寝られなくなる
わけです。
手首の手のひら側のしわの上で、小指の外側を下ったところの交点(神門:しんもん)にでも
千年灸を1日2〜3回据えて下さい。


 ■『 猫の肝気鬱(かんきうつ)

 我が家には2匹の猫がいる。
この2人(2猫)、年格好がほぼ同じうえに非常に仲が悪い。日々喧嘩で明け暮れる。
そのうち長男(先から居た方)の動作がカクカクしてきた。どうやら縄張りを割譲せざるを得なく
なったことで、ストレスを溜めたらしい。
養老猛氏にいわせると動物も人も脳をを除けば、ほぼ同じ構造をもつという。
ならば人に起こることは猫にも 起こり得るだろう。
一般に人がストレスを溜めると、筋肉が緊張し硬くなってくる。肩こりなどが代表的。
さらに悪化すると流れるような動き、つまり筋肉の連動運動に支障を来す。
要は、ぎこちない動きに変化し、ぶっかったり転んだりする。
これを東洋医学では「肝気 鬱(かんきうつ)」と呼ぶ。
・・・この猫には毎日背骨の脇を中心に30分ほどマッサージをした。だいぶ んカクカクとした
動きが改善される。もちろんお代は頂いてはいない。むしろドライの餌からモンプチに代えて
いるので出費がかさむ(笑)。でも、とても気持ち良さそう。
肝気鬱を避けるには、頭の中を「気持ちよく」することと、「肯定的」な行動をとることである。
自分が取った行動に否定的になっては、迷いが生じ、責任も取れない。
頭の中は否定的な行動を後悔し、そのことに囚われてしまう。
身近の「さっぱりした人」の行動パターンを学習し、肝気鬱を避けたいものである。
学習できるかどかが人と動物の違いではなかろうか。

 
中医学に基づいた鍼灸治療のさくら堂治療院