漢方研究の3さんきじゅく
漢方・鍼灸 中医学勉強会/横浜/大和


04/16/2012更新

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2012年3月18日 第10回 中医オープン講座■              飯田登子 

10時30分会場、11時スタート。
午前の公開講座は横山浩之先生でした。 演題は「近代日本の歴史〜澤田流と経絡治療〜」。 まずは日本の医学史の流れ、とくに江戸時代から近年までの鍼灸師のあり方、資格のお話。
江戸時代から明治初期まで医療を行うものとして鍼医が存在していたが、明治に医師資格が出来る時、その人たちとその人たちの子供たちで25歳以上の人はそのまま従来医ということで今の医師という身分に移行した。

では同じ年に発布された「鍼灸は内外科医の指図を受けて治療を行うように云々」という医制発布は医師以外の鍼灸師にあてて発布されているが、それはいったい誰に発布されたものなのか。それは欠落事項により医師にはならず鍼灸師として残った視覚障害者のものだった。その後、庶民の信仰とからめて残ったお寺の灸も「鍼灸術営業差許方」により残った。

以降、医師資格については大正に大学が設置されるまでペーパー試験2回だけで取得できる時期が有り、医師になりたい人は医師の元へ書生として入り、そして試験を受けて医師となった。その書生の中に医師の試験に合格しなかった人たちも出てくる。 その人たちが明治末期、大量に鍼灸に流れ込む。

そこで医師のもとで西洋医学を勉強した晴眼者の鍼灸師が沢山出来る事となる。そしてその鍼灸師達が明治から大正まで活躍することになる。ということは、ならば今まで言われたような「国は鍼灸を迫害してきた」ことなどなかった事になる。
確かに鍼医の石坂宗哲(以下敬称略)などは従来医ということでそのまま医師に移行している。このことから誰かが国の医療制度を西洋医学としたのは事実だが、鍼灸師は別段、迫害はされておらず、又鍼灸は禁止されていなかったと納得できる。その後明治45年から鍼灸師の試験制度が実施されるが上記の流れにより試験内容は西洋医学中心となる。では西洋医学的だった鍼灸が東洋医学をいかに取り入れたか?あるいは取り戻したか?
キーは矢数道明が言い出した「西洋医学は部分的、東洋医学は全体的」でなかろうか。この語はご本人の論文から推理すると、非近代医療であるホメオパシーの概念で可能性が濃厚である。また中医学によく出てくる「整体」は中国の古典を調べても出ていない。しかし中国の哲学書を調べると「整体」はマルクス哲学の「全体」という概念の翻訳である、ということがわかる。上記より、どちらも西洋由来のものが東洋化したものだった事がわかる。19世紀、ヨーロッパでおこった世紀末思想が東洋化され、関東大震災後の意識変化と連動し、漢方や鍼灸の復古運動へと連なる、と考えることが出来る。
上記のような時代背景の説明の後、経絡治療の主だった人たちの名前やその人々の関係などの話に移行する。また、今の経穴が松本四郎平によるものが基本となっているお話に入り、澤田健についての資料と経絡治療との関係のお話へと進んだ。 初めに澤田健を世に紹介したのは「漢方医学の新研究」中山忠直。澤田健の「経穴は移動する。」の言葉は現在に生きる。そしてその特徴の一つに西洋医学や漢方との対立がある。初め澤田健の頭には澤田流というものはなく、自分の治療は普遍的な古典治療としていた。その後、霊的体験を経て澤田健の世界観を語り始める。代田文誌が実際に澤田健の治療を見学していたのは1週間ほど。澤田健に古典を教え、古典復古を願っていた城一格も澤田健と関わったのは少しの間。初め「鍼灸治療基礎学」は澤田健の十四経図譜の解説だったが、後に文献研究にと変わっていった。文献研究がすすむと澤田健の発言が古典と違うと気付いていく。澤田健が治療家として優れていたのは伝説として残っている。澤田流とは澤田健の世界感であり、澤田流という治療法はないという結末には驚きを隠せない。
『素問』『霊枢』を毎晩数年にわたり読み続けた岡部素道と井上惠里、「東邦医学」を売り出し、古典復古を願った竹山晋一郎。この3人で経絡治療の基礎を作る。だが、古典にこだわったためか経絡治療は完成できなかった。
澤田健と経絡治療を結ぶキーワードは古典と城一格。同じ時代を生きた先人たちは古典というキーワードをもとにすれ違った。澤田健の影響を経絡治療に残して。その後、教科書から見える鍼灸の流れと現教科書の問題点についてのお話。そして今後の課題。というところが今回の横山先生の講義内容で私がなんとかキャッチできたところ。う〜ん。たった90分の中にすごいボリュームと驚くほど濃い内容が入っており(実はまだまだ内容はもりもり。)悲鳴とうつろな目になっていた受講者たちがいたことはいつもの通り。そして横山先生を師と仰ぎ、また尊敬し「もっと聴きたかった。」という人たちがいたのもいつもの通り。いつも両極端にわかれる受講生たちなのでした。ま、とにかく医学史は知っていたほうが良いです。自分の立ち位置がわかりますから。

1時半〜15時は千秋針灸院の春日井真理先生。春日井真理先生は愛知県で眼科領域に特化した専門分野への鍼治療を行っていらっしゃる新しいスタイルの先生で眼科疾患の難病まで扱われます。演題は「眼科領域に専門化した針治療に何ができるのか」 まずは自己紹介で、自身の病気体験のお話と中国での鍼灸のお話。帰国後は日本のあはきの現実を知りとまどわれたとか。持ち帰った中医学を日本でどういかせるかを思考錯誤されたようです。

日本の鍼灸院で勤務後開業へ。そして黄斑変性、色素変性と出会い眼科領域へ。勉強は医学生、コメディカルレベルのテキストを使い学問と臨床の両輪で時間と労力を費やし、遂に鍼灸で眼科を専門化されました。現在、千秋鍼灸院に眼科領域が主訴で来院される患者さんは年間延べ4000人。遠方からの患者さんもいらっしゃいます。そこで眼科鍼灸のネットワークを構築され遠方からの患者さんにも治療が受けられるシステムを作られています。ホームページでは疾患ごとの測定・評価・治療結果を報告。また年一回を目標に統計症例報告を作成。
これからの鍼灸をより安全でかつ現代医学の観点からも評価、統計化、再現できる治療にと務められ鍼灸を国民の役立つ医療にと目指されています。

また、先生は鍼灸の様々な流派や鍼灸師の有名無名にとらわれず治療を結果重視で見ておられるのも新しくて目が覚めるような思いでした。患者サイドにしてみれば本当に有益だと思いました。 国民のニーズに応える。そこにはぬくもりと現実感がありました。「鍼灸は医療・・・・効果を検証し、結果に対して謙虚に」とされている姿勢は感動でした。 


■創立10周年記念パーティー

第10回三旗塾オープン講座終了後、
10周年記念パーティーが行われました。
参加者は50名を越え大変盛況でした。
初めての方々、久しぶりに顔を合わせた方々、至る所で会話が弾みます。 

パーティーも終盤に差し掛かったところで、まずは功労者の表彰が行われました。

長く塾頭を努めた竹市先生、4年間新第4クラスを担当した金本先生が表彰されました。ご両人には自前に連絡がなく、びっくりされたご様子。悪戯好きの金子先生の演出のようです。

その後に、塾生から金子先生へ10年分の感謝の意と『これからも末永く時を刻んで行って欲しい』という願いから、記念品の時計が贈られ、奥様からも花束の贈呈がありました。これには、金子先生も熱く込み上げてくる物があったご様子です。師弟間で感謝の意を伝えあう。これが三旗塾が三旗塾たる真骨頂の事象のように思いました。ご縁に感謝し、結びに礼し、そして和気あいあいに進みましょうという感じです。

それ以外にも余興として島津先生からのフォーミーが突然始まったり、普段顔を合わすことがない大阪倶楽部、群馬倶楽部代表の飯田先生、北上先生の紹介があり、大変楽しい祝宴でした。            


                   木村剛裕

12/24/2011

■第10回 中医オープン講座 開催
■日時:2012年3月18日(日)■
○受付10時より
○午前の部 11時〜12時半
横山浩之先生(森ノ宮はりきゅうミュージアム研究員)  
演題 《近代日本の鍼灸の歴史 ―澤田流と経絡治療を中心に―》
●横山先生は歴史に造詣が深く、今回大阪からお越しくださることになりました。我々が鍼灸師として立ち位置を考える際に是非一度聞くべき内容と考えます。
○午後の部 1時半〜3時  
春日井真理(千秋針灸院)  
演題《眼科領域に専門家鍼治療に何ができるか》
●春日井先生は眼科領域に携わる鍼灸家の大先生です。愛知県で開業されておられます。黄斑変性、網膜色素変性、緑内障などにどのように対応されているのか興味津々です。
○場所:目黒プリンセスガーデンホテル
(目黒西口出て右側に徒歩5分)http://www.princess-garden.co.jp/
◆参加費:5000円
◎ その後、同ホテルで三旗塾10周年記念パーティを行います。
◆参加費:4500円
      

 

詳細はこちら↑
5/24/2011
大阪倶楽部ができました◆ → クラス紹介
3/16/2011

■第9回 中医オープン講座 の中止
2011年3月20日開催予定の第9回中医オープン講座は
地震の影響の為中止致します。

今回は、横山浩之先生(森ノ宮はりきゅうミュージアム) 、春日井真理先生 (針灸専門・千秋針灸院)を講師としてお招きしました。
定員100名です。
E-meil:
sankijuku@gmail.com
                           詳細はこちら→

3/22/2010

■第8回 中医オープン講座開催
33月22日、第8回 中医オープン講座が目黒さつき会館でおこなわれました。
当日は晴天に恵まれ、数多くの先生方に出席いただきました。
午前の部、午後の部にわかれ講義がおこなわれ、それぞれの講師の方に、桑楡堂薬局顧問で中医師の邱 紅梅先生、名古屋医専 教員養成学科教員の伊藤 和真先生におこしいただき講義をおこなっていただきました。
 午前の部、邱 紅梅先生は「中医学的基礎体温の見方」という演題で婦人科系疾患、特に不妊症を中心とした基礎体温表の見方について講義していただきました。
その内容は、高温期・低温期の長さや体温の上がり下がりが、どの様な弁証になるのかから、患者さんにどの様に説明をするのがよいのかと言ったことまで、中医学的見地から見る独特のもので、大変興味深いものでした。
講義の中で、先生自身の日々の臨床話も多くお話いただき、先生の人柄も伴って、終始笑いの絶えない講義でした。

    

 午後は伊藤 和真先生の「がん患者と鍼灸治療から見えてきたもの」という演題で、講義をしていただきました。
我々、鍼灸師が普段の臨床ではなかなか診る事のない終末期のがん患者さんのお話や、術者と患者さんとのコミュニケーション法など、大変に勉強になる内容でした。
講義の終盤には爪楊枝を使った、鍼の技術向上の為の練習法などを参加者全員で練習するなど、座学と実技を取り混ぜた、とてもユニークな講義でした。

    
両先生からの講義は、すぐにでも実践できる内容も数多く盛り込まれており、ついつい自分流になりがちな日々の臨床の中で、忘れかけていた基礎的な事などを思い出させてもらったり、講義を通じ新しい発見があったりと、大変勉強になりました。
両先生方には心より御礼申し上げます。

2/20/2010

■第8回 中医オープン講座 の講師・日程が決まる   
第8回中医オープン講座が2010年3月22日に開催されます。
今回は、邱 紅梅先生(桑楡堂薬局顧問・中医師)、伊藤和真先生(名古屋医専 教員養成学科教員) を講師としてお招きしました。
定員50名ですので、お早めにお申し込みください。
E-meil:
sankijuku@gmail.com
                           詳細はこちら→

3/22/2009

■第7回 中医オープン講座開催
3月22日の日曜日、川崎市民プラザにて、第7回の中医オープン講座が行われました。
 今回の講師は、金子先生の尊敬される方で、東医学研究会の理事をされている 戸田一成先生と、高知大学医学部臨床教授で、第22回間中賞を受賞された、『東洋医学見聞録』など著書でお馴染みの西田皓一先生でした。
 午前の部の戸田先生は、「臨床:スキルアップのポイント」ということで、中医学を勉強するための方法論をご自身の医案で具体例をだしながら紹介してくださいました。その中の、「根拠は古典に求める」「まず疑え」というトレーニング方法はとても興味深く、説得力がありました。講義で教えていただいた4つのトレーニングをすべてやっていけば、臨床力は半年後、一年後に大きく変わってくるという先生のお言葉は間違いないであろうと感じました。
    

 午後の部の西田先生は、『針灸一穴療法』というご自身の著書に基づき講義してくださいました。四総穴、八総穴、奇経、経筋などを通して、腰痛、花粉症など幾つかの治療方法を紹介してくださいました。講義はとても面白く、臨床で経験されたことなど笑いも交えながらたくさん紹介してくださいました。また、刺針方法も疾患毎にモデルを使って、穴の位置から置針の時間まで具体的に説明してくださいました。 なにより西田先生の技術を間近で見ることができ、大変勉強になりました。
    
両先生の講義から新しく気づかされることが多く、更に中医学を勉強し、臨床経験を積んで力をつけていきたいという思いが強くなりました。
心より御礼申し上げます。

1/30/2009

■新第2クラス 今春よりスタート決定
平成21年4月より、新しく内山先生のクラスが第2日曜の17時〜19時で始まります。
中医学の基礎を実際の中医書を翻訳しながら勉強していきます。
現在受講生募集中です。
詳細は、講習会情報をご覧ください。

11/26/2008

■第7回 中医オープン講座 の講師・日程が決まる   
第7回中医オープン講座が2009年3月22日に開催されます。
今回は戸田一成先生(東医学研究会理事)、 西田皓一先生(高知大学医学部臨床教授) を講師としてお招きしました。
定員50名ですので、お早めにお申し込みください。
E-meil:
sankijuku@gmail.com
                           詳細はこちら→

3/20/2008
■平成20年度春の特別展「病と医療−江戸から明治へ−」
結核・インフルエンザ・天然痘・ハシカ・赤痢・コレラ、梅毒、脚気、中風などなど。これらの病に江戸の医師はどのように対処し、人々は健康維持のために日々どんな養生法を行っていたのか。そして明治に入って政府が断行した医療改革の内容とは…。
   (国立公文書館HPより)
会場:国立公文書館
期間:4月5日〜24日
入場無料    http://www.archives.go.jp/exhibition/haruaki_20_haru.html
3/17/2008
■3月16日 第6回中医オープン講座 開催」
今年の三旗塾のオープン講座は梁永宣先生と金子朝彦先生が講演してくださいました。

梁先生は北京中医薬大学助教授で今年の3月24日まで約1年間、茨城大学の外国人研究者として来日されています。

現在、江戸時代の朝鮮通信史について医史学の観点から研究されており、今回その研究内容について発表してくださいました。
当時の朝鮮と日本の人たちが漢文という共通言語を用い、筆談という形でコミュニケーションをとっていたということ、また日本の漢方医が医学知識の獲得に情熱を燃やしていたことなどを資料の中から読み取ることができ、先人が残された貴重な古典を勉強する大切さを改めて考えさせられたと同時に、今後の私の臨床に対する姿勢を考えるうえでとても身を引き締めさせられた講演でした。
金子先生は臨床での四診(望聞問切)から弁証論治までの流れについて、治療デザインという言葉で御自身の見解をお話されました。

とりわけ重要性を強調されていたのが問診で、必要な情報を獲得するうえでの質問のしかたのテクニックや、患者を質問攻めにするのではなく傾聴することの大切さについてお話されました。
特に印象深かった一言が「患者の沈黙を聞くこと」でした。

臨床経験の浅い初学者は沈黙の時間を打破しようと必死に患者に話しかけてしまう傾向がありますが、患者の沈黙の裏に隠れている事物を考えることが、患者の心理面を含めた日常生活を知る上でとても大切な行為であることを金子先生に教えていただきました。

いつも臨床現場で間髪入れず機関銃のように患者に話しかけている自分自身にとって、とても大きな戒めとなりました。
                                      (レポート 金本貴行)

 

 
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